高専って、普通の高校と何が違うの?
高専(高等専門学校)は、中学校を卒業して入学できる、5年間の学校です。1年生から専門分野を学び、実験・実習をしながら技術を身につけます。そして卒業後は、就職することも、大学へ進学することもできます。このページでは、高専とはどんな学校なのかを、高校との違いから、カリキュラム・学費・進路まで、まとめて紹介します。
高専って何?
「高専」は、中学卒業後に進学できる5年間一貫の専門教育機関です。1962年の開設以来、エンジニアを中心に多くの技術者を社会に送り出しています。
5年間の一貫教育
中学卒業後の15歳から、高校3年間+大学2年間にあたる5年間を一貫したカリキュラムで学びます。高校のような文理選択や大学受験に時間を取られず、専門分野をじっくり深められます。
実験・実習中心の専門教育
1年次から専門科目や実験・実習が始まり、座学だけでなく手を動かしながら学べるのが特徴です。ロボット、電子回路、プログラミング、建築模型など、学科ごとに実践的な学びが用意されています。
全国に広がる高専
国立・公立・私立をあわせて全国に高専があります(設置区分は学校により異なります)。機械・電気電子・情報・建築・化学など多様な学科から、自分の興味に合った学校を選べます。また、寮がある高専も多く、通学圏にとらわれず全国から学校を選ぶことができます。
就職・進学どちらも強い
卒業後は大手企業を中心に高い求人倍率を誇る就職はもちろん、大学3年次への編入学という進学ルートも開かれています。専攻科に進んで学士号を取得することも可能です。
学費が安い
国立高専の学費は年額23万円強。大学に進学する場合と比べて格安に抑えられ、5年間じっくり専門教育を受けられます。
高専と高校、何が違う?図でわかる比較
まずは、高専と「高校→大学」ルートの違いを、表で比較してみましょう。
| 高専 | 高校(普通科) | |
|---|---|---|
| 入学時期 | 中学卒業後(15歳) | 中学卒業後(15歳) |
| 修業年限 | 5年間(本科)。希望すれば専攻科でさらに2年 | 3年間 |
| 学ぶ内容 | 1年生から専門分野(機械・電気・情報・建築など)を学習 | 1〜2年は共通科目、3年生前後で文理選択 |
| 特徴的な授業 | 実験・実習が多く、1コマ90分授業が主流 | 座学中心、1コマ50分授業が主流 |
| 大学受験 | 原則不要(希望者は大学3年次への編入試験あり) | 必要(大学入学共通テスト・個別試験など) |
| 学費(国立の場合) | 5年間で入学料込み約126万円。1〜3年次は就学支援金で実質無償 | 就学支援金により3年間実質無償化されるケースが多い |
| 卒業後の進路 | 就職/大学編入/専攻科進学の3パターン | 大学進学/専門学校/就職 |
大きな違いは、高校が「大学受験のための3年間」であるのに対し、高専は「専門分野を学ぶための5年間」だという点です。中学卒業の時点で、ある程度学びたい分野を決めて進学する学校、というイメージを持つとわかりやすいかもしれません。
カリキュラムの特徴:1年生から始まる専門教育
1年生から専門分野の授業と実験・実習が始まり、学年が上がるほど専門色が強くなっていきます。
| 学年 | 学びの特徴 |
|---|---|
| 1〜2年生 | 数学・英語などの一般科目が中心。専門分野の入門的な授業もスタート |
| 3〜4年生 | 専門科目や実験・実習の比重が増加。学科ごとの専門性が深まる |
| 5年生 | 卒業研究など、より高度な専門テーマに取り組む |
高専の最大の特徴は、1年生の頃から専門分野の授業が時間割に組み込まれていることです。1・2年生では数学・英語などの一般科目の比重が大きいものの、学年が上がるにつれて専門科目や実験・実習の割合が増えていきます。実験・実習のあとにはレポート提出が課されることも多く、座学だけでなく「手を動かして学ぶ」時間が豊富にあるのも高専ならではです。5年間を通じて同じ分野を深く学び続けるため、卒業する頃には即戦力となる専門知識・技術が身についています。
学校生活の1日の流れや、部活動・大会活動(ロボコンなど)についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
学費のリアル:高校より高い?安い?
5年間でかかる費用を、高校ルートと比べてみましょう。
| 高専ルート(5年+大学編入2年=計7年) | 高校ルート(高校3年+大学4年=計7年) | |
|---|---|---|
| 学費の目安 | 高専5年間は入学料込みで約126万円(年額23万4,600円)。1〜3年次は就学支援金で実質無償。編入後は大学2年間分が加わる | 高校3年間は就学支援金で実質無償化されるケースが多い。大学4年間は入学金28万2,000円+年間授業料53万5,800円で約243万円かかる |
| 7年間の総額 | 就学支援金を差し引いた実質負担は、高専だけで就職するなら5年間で約47万円程度(4・5年次の授業料のみ)。大学に編入する場合は、大学2年分の学費から高専4・5年次の学費を差し引いた分がお得になり、実質約170万円程度で収まることが多い | 高校3年間はほぼ無償になっても、大学4年間はフル負担で約243万円。7年間の実質負担は約243万円ほど |
| 寮費 | 利用する場合、月数千円〜1万5千円程度 | 学校によって異なる |
結論から言うと、高専は大学より学費が大きく抑えられます。国立高専の学費は入学料(8万4,600円)を含めても5年間で約126万円(年額23万4,600円)。これに対し、国立大学は入学金28万2,000円+年間授業料53万5,800円で、4年間の総額は約243万円にのぼります。しかも高専は1〜3年次が就学支援金の対象で実質無償になるため、実質の自己負担は4・5年次の授業料のみの約47万円程度まで下がります。高専卒業後にすぐ就職する場合は、大学4年間分の学費・生活費がまるごと不要になる計算です。大学に編入する場合も、大学2年分の学費から高専4・5年次の学費を差し引いた分がお得になり、実質負担は7年間で約170万円程度。「高校3年+国立大学4年」の実質負担(約243万円)と比べても、大きく抑えられます。寮費も月数千円〜1万5千円程度と安価な学校が多く、進学先の地域や生活スタイルによってトータルコストは変わってきます。
1〜3年次(高等学校等就学支援金)
高専の前半3年間は高校段階に相当するため、国の就学支援金制度の対象となります。
- 対象:全世帯(2026年度の法改正で所得制限が撤廃されました)
- 支給額(国公立高専):月額1万9,550円(年額23万4,600円)で、国立高専の授業料と同額のため実質ゼロになります。
- 支給額(私立高専):上限月額3万8,100円(年額45万7,200円)まで支援されます。
- 注意点:支給は授業料のみです。入学料(8万4,600円)や教科書代、寮費などは自己負担となります。
4・5年次・専攻科および申請について
4年生以降は高等教育段階となり、支援制度の対象となります。詳細な内容や申請方法については、補助金ポータルおよび国立高等専門学校機構をご参照ください。
※支給額・要件は2026年度時点の情報です。最新の条件は各リンク先でご確認ください。
寮生活:家から遠くても、どの高専でも目指せる
高専の多くには学生寮があり、たくさんの学生が寮で生活しています。
ほとんどの高専に寮がある
全国の国立高専51校はすべて学生寮を備えており、公立・私立を含めても寮のある高専が大半です。高専は各都道府県に1〜数校しかないため、地元以外から入学する学生も多く、そうした学生の生活の場として寮が用意されています。商船系の学科や神山まるごと高専のように、全寮制の学校・学科もあります。
寮があるから、遠くの高専も受験できる
寮を利用すれば、自宅から通えない距離の高専でも進学先の候補になります。「学びたい分野の学科が地元の高専にない」「ロボコンで憧れた高専に行きたい」といった理由で、県外の高専を選ぶ先輩も少なくありません。住んでいる地域にとらわれず、学びたいことを軸に学校を選べるのは高専ならではです。
- 受験の条件:学力検査(一般入試)は、住んでいる都道府県に関係なく受験できる高専がほとんどです。ただし推薦入試や公立高専などでは居住地の条件がある場合もあるため、必ず志望校の募集要項を確認しましょう。
- 費用の目安:寮費は食費込みで月3万〜6万円程度が目安です(学校によって異なります)。詳しくは高専の学費一覧で紹介しています。
- 寮生活で得られるもの:同級生や先輩・後輩と寝食を共にするなかで、自立した生活習慣や一生ものの友人ができたという声が多く寄せられています。
各高専の寮の有無や寮の名前は、高専を探すから各学校のページで確認できます。
卒業後の進路:就職・大学編入・専攻科の3つの道
高専卒業後は、主に3つの進路があります。
就職
高専生の求人倍率は10倍〜20倍以上ともいわれ、企業から高く評価されています。5年間で培った専門知識と実技力がそのまま強みになります。
大学への編入学
高専5年間を修了すると、大学の3年次に編入学することができます。一般入試より対策範囲が絞られ、受験スケジュールも早いことから、知る人ぞ知る「狙い目のルート」ともいわれています。
専攻科への進学
高専内に設置された専攻科にさらに2年間進学し、大学卒業と同等の学士号を取得する道もあります。
「就職に強い」というイメージが先行しがちですが、大学進学の道もしっかり開かれているのが高専の大きな魅力です。それぞれの進路のより詳しい解説は、下記の記事でも紹介しています。
最新の就職・進学実績データ(全国立高専・令和6年度)
| 年度 | 就職率(就職希望者に対する実績) | 大学編入学率(進学希望者に対する実績) |
|---|---|---|
| R2(2020年度) | 98.1% | 97.7% |
| R3(2021年度) | 96.0% | 96.6% |
| R4(2022年度) | 95.8% | 97.1% |
| R5(2023年度) | 97.3% | 97.5% |
| R6(2024年度) | 98.8% | 97.5% |
令和6年度の本科卒業者の進路内訳は、就職58%、大学編入25%、専攻科進学15%、その他3%。専攻科修了者は就職69%、大学院等への進学29%、その他3%で、専攻科修了者の進学率は令和6年度で99.5%に達しています。
| 主な就職分野(令和6年度・本科卒業者) | 就職者数 |
|---|---|
| 製造業 | 2,311人 |
| 情報通信業 | 787人 |
| 建設業 | 546人 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 376人 |
| 運輸業、郵便業 | 300人 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 272人 |
| 主な大学編入先(令和6年度・上位10校) | 編入者数 |
|---|---|
| 豊橋技術科学大学 | 368人 |
| 長岡技術科学大学 | 322人 |
| 熊本大学 | 70人 |
| 東京農工大学 | 62人 |
| 九州工業大学 | 52人 |
| 金沢大学 | 49人 |
| 千葉大学 | 48人 |
| 筑波大学 | 47人 |
| 岡山大学 | 47人 |
| 大阪大学 | 42人 |
※データ出典:国立高等専門学校機構「高専概要2025」(全国立高専の合計値)。就職率・大学編入学率は、それぞれ就職希望者・進学希望者に対する実績です。
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